キッズアートプロジェクトには38の美術館や博物館等が参加しています。各館にはそれぞれ収集方針があり、そのコレクションは特徴があります。また、学芸員にも専門の分野があり、学芸員は日々の用務に追われながらも各館のコレクション等について研究をし、研究の成果が展覧会となって現れています。日本では学芸員は黒子のような存在ですが、以前仕事で訪れた台湾では、「策展人」として企画者の名前が前面に出ていました。この企画者の展覧会だから見てみよう、という人もいるのではないかと思います。

執筆者が企画した「パラレルヒストリーズ」展チラシ
6つのテーマで現代アートを紹介しました。

一つの展覧会は独立した一つのストーリーと言えますが、教育現場や家庭では、他の展覧会や授業、読書等とつなげて、それぞれのストーリーを紡いでいってほしいと思います。油彩や日本画のような技法に注目するのもいいですし、同じ時代の様々な表現を見ても面白いと思います。様々な関連の中で作品が奥行きを持って現れてくると、より美術が楽しく感じられるのではないでしょうか。

当館の話になりますが、現在デジタルアーカイブの事業を進めているところです。こちらの整備が終われば、コレクションの情報に触れていただくことが容易になります。また、この事業の一環として、映像コンテンツや、高精細画像、ロダン作《地獄の門》の3Dデータ化も準備中です。コロナ禍で鑑賞の機会は減ったかもしれませんが、美術館・博物館等によるデジタルの発信は増えてきました。こうしたアクセスしやすいコンテンツと展覧会を組み合わせていただいても良いと思います。

デジタルアーカイブ撮影風景。
ロダン《地獄の門》が3Dのデータになります!

組み合わせ次第で、学芸員が想像もしていなかった楽しみ方ができるかもしれません。美術館や博物館等での、物事を様々な見方で捉えてみる経験は、きっと子ども達の成長の糧になってくれると思います。